ニューポートプロパン暖炉

インターネットで米国のスモール/タイニーハウスの室内風景を見ると、壁に銀色に光る箱型の器具が取り付けられていることがよくあります。箱の正面には小さなガラス窓があり、天板からは、これも銀色のパイプが室外へと伸びていますが、いったい何なのための設備なのでしょうか。

ディッキンソン・マリーン社「ニューポート」プロパン暖炉ヒーター


ディッキンソン ニューポートプロパン暖炉

検索してみると、1932年からカナダで営業しているディッキンソン・マリーン社 (Dickinson Marine) の「ニューポート プロパン暖炉ヒーター (Newport Propane Fireplace Heaters)」シリーズという製品で、本来はヨットなどの船舶用でした。

銀色のパイプは煙突(ちゃんと2重になっている)です。ファンヒーターのような送風機能もあるようですが、大まかに言えば、日本の小屋暮らし勢が愛用する薪ストーブの薪がプロパンガス(LPガス)に代わったものと言えるでしょう。

気になるお値段は、現行モデルでは小さめのP9000が1000ドル、大きめP12000が1200ドルと、決して安くはありません。


ニューポートの暖房能力と燃費

暖房能力


本体サイズがずいぶん小さいですが、暖房能力はどうなのでしょうか。

カタログによると、P12000の高温モードで5500BTU、日本の基準に直すと約1.6kW。これはコンクリート6畳間に適した性能です。米国のスモール/タイニーハウスは木造で、広さも6畳以上ありそうですから、能力不足ではないでしょうか。

もちろん、小屋暮らし先進国の物件は気密・断熱など高性能で、これでもじゅうぶん暖まるという可能性もありますが(私は今、とてもテキトーなことを書いています)。

寝太郎さんや、からあげ隊長の小屋で使うには能力不足となるでしょうが、かつやさんの4畳の小屋ならいけるかも。

燃費


メーカーは低燃費を謳っていますが、実際の燃費はどうなのでしょうか。

P12000の高温モードの場合、1ポンドのガスで3.9時間運転でき、米国でバーベキュー用などに普及している20ポンド(約9キロ)のボンベを接続した場合、78時間使えます。

あちらでは、20ポンドのガスを充填するのに18~19ドルかかるようです。燃費は1時間あたり25セントといったところでしょうか。毎日8時間使ったとして、1ヶ月のガス代は60ドルになります。

もし、この製品を日本で使うとしたら、ガス代はどのくらいかかるのでしょうか。わが国のガス充填料金は米国より割高なので、単純にドルを円に換算しただけでは求められません。

米国の20ポンド(9キロ)ボンベに相当するものは、わが国では8キロのボンベになります。これにガスを充填してもらうのにかかる料金は、およそ3千円。1日8時間運転した場合のガス代は約375円。月に1万1250円にもなります。

およそ現実的とはいえません。さらに、相次ぐガス爆発事故により規制が強化され、持ち込んだボンベにガスを充填してくれる販売業者を見つけるのも難しい状況になっているそうです。

ヨット/クルーザー 向けの製品


ディッキンソン ニューポートプロパン暖炉

そもそも、ディッキンソン・「マリーン」社のニューポート プロパン暖炉は住宅用の暖房器具ではなく、船、それも船室を備えるような豪華なものに取り付けるための製品です。

その燃費を住宅用のエアコンやストーブと比べるのは不公平ですし、ヨットやクルーザーの所有者は、ガス代くらいでつべこべ言わないでしょう。この製品をあえてスモール/タイニーハウスに設置するメリットは、

  • 船舶用としての、狭い空間でも安全に使用できる性能が、小屋にも適している
  • 趣味用としての、質感とデザインの良さが、インテリアとして優れている
  • ガラス窓越しに炎を眺めることができる

といった点にあるのではないでしょうか。燃費は(米国の場合)、安くはないけれど払えないこともない金額だと思います。

最大の疑問は、カタログ上の暖房能力だけでない実際の使用感なのですが、それを調べるのは私の中学生レベルの英語力では荷が重いので、どなたかに譲りたいと思います。