中野大勝軒 つけそば特盛り

つけ麺発祥の店、中野大勝軒で「つけそば」特盛りを食べました。大勝軒といえば山岸一雄の東池袋大勝軒系が有名ですが、山岸氏が下積み時代を送ったのが、彼の親戚が創業した中野大勝軒です。

つけ麺ではなく、つけそば


中野大勝軒では、つけ麺を「つけそば」と呼びます。いえ、この店が発祥なのですから、私たちがつけ麺と呼んでいる食べ物の本当の名前はつけそば、というべきでしょうか。

濃厚な味がもてはやされる現代の流行に背を向けた、昭和のあっさり味。詳しいことはわかりませんが、魚介類なども入っているのでしょう。

今回は、つけそばの特盛りを頼みました。以前は、大盛りの食券を2枚買うことで「超大盛り」になったのですが、券売機に「特盛り」メニューが新設されていました。

中野大勝軒 つけそばの麺

中野大勝軒はおいしくない?


ところで、この中野大勝軒ですが、歴史的に重要な店であるわりには、いわゆるラーメン・マニアのような人たちからは高い評価を得ていません。

実際、この店のつけそばは、おいしいのか、おいしくないのか。結論から言うと、そういった評価を解脱した味です。レビューだとか、比較だとか、そうした情報時代のあさましい現象から解放された1杯なのです。

もう10年ほど前になりますが、私が最初にこの店を訪れたきっかけは、単に「安いから」でした。当時は、つけそばが480円。大盛りにしても580円。初めて食べた時の感想は「味が薄すぎる」。ところが、しばらくすると、また食べたくなりました。

ラーメン二郎を初めて食べて「味が濃すぎる」、「脂っこすぎる」と思いながら、結局、常連になってしまった時とは逆のような、同じのような……。

ともかく、中野大勝軒のメニューは近所の人たちが日常的に食べるためのものであって、遠くから食べ歩きにやって来たラーメン・マニアを満足させるためのものではないのです。

中野大勝軒 つけそばのつけ汁
つけ汁

卓上のタレなくして中野大勝軒なし


中野大勝軒のつけ汁は、通常のラーメン丼に、やはり通常のラーメンのスープとさして変わらぬ濃さのものが出されます。

つけ麺という食べ物が抱える問題のひとつが、麺を浸すことで、つけ汁が次第に薄くなること。同店の場合は特に、昭和のあっさりスープに、同じく柔らかめで水を含んだ麺を浸すわけですから、その程度はさらに甚だしくなります。

(麺は固めで頼んだ方が良いかもしれません)

中野大勝軒 卓上調味料
卓上調味料

卓上調味料で自由に味つけ


この問題は、卓上に用意されたタレによって解決できます。つけそばは、このタレがあってこそのメニューなのです。さらに、胡椒、唐辛子、ラー油、酢といった調味料も用意されています。

私のおすすめは、麺に調味料をかけること。食べ進めるうちに味に飽きてきたり、物足りなく感じてきたら、ためらうことなく調味料を使うべきです。麺に胡椒、ラー油、酢などをかけるのも美味しいですよ。

中野大勝軒 つけそばスープ割り
スープ割り

ただ、留意しておかねばならないのが、スープ割りの存在。お願いすると、長いひしゃくでつけ汁の丼にスープを注いでくれます。

これを飲まずして何の中野大勝軒かと私は思っているのですが、調子に乗って唐辛子やラー油などを入れ過ぎると、この時に大変なことになってしまいます。

中野大勝軒の「つけそば」はおいしい


何だかんだ言って、中野大勝軒のつけそばは、おいしいのです。私のおすすめメニューは肉入りつけそばの大盛り、もしくは特盛り。

店の看板を見ると「ラーメンの立場はどうなるんだ」と言いたくなりますが、ラーメンも案外いけます。現代風のラーメンとラーメン店に疲れた時に食べてみてください。

中野大勝軒 外観

自己実現ラーメンに毒されないでほしい


そんな中野大勝軒も、「こってりつけそば」なる時代に迎合した新メニューを開発したり、器をおしゃれ風(決しておしゃれではない)に変えてみたり、フェイスブックページを開設したりと、時代の波に流されそうな様子があります。

現代は、店も客もラーメンに「求めすぎ」です。人間が、この宇宙の歴史でたった一度きりの自分の人生に、何か特別なものを求めるのは当然のことですが、はたして、その願望はラーメン丼に盛りきれるものでしょうか?

どこまでいってもラーメンはラーメンだと思います。中野大勝軒も、細かい改善などはできるだけ地味にやっていただいて、昔から何も変わらぬ味だと、われわれを気持ちよく騙してほしいと思います。

最後にもう一度言いますが、中野大勝軒の「つけそば」は、おいしいです。また上京した際にはお邪魔します。