ドバミミズ 1

先日、釣り餌用に採ってバケツに生かしておいたミミズが乏しくなってきたので、再度、同じ場所にミミズ掘りにでかけた。ドバミミズ掘りの好ポイントといえば、なんといっても道路脇の側溝である。

本来、そこは単なるコンクリートの溝であって、ミミズなど棲めるはずもないのであるが、手入れが行き届かず土砂がたまり、近くに落葉樹があって落ち葉が積もっているような溝あれば、これは、釣客たるもの、ひと掘りに及ばぬという法はない。

掘りすぎ禁止:ミミズは土壌撹乱に弱い


その際、落ち葉をかき分けるにとどめて置き、土は掘り返さずにおくのが、ミミズどものためには一等よい。彼らは、土壌の撹乱を好まぬのである。その温床を破壊することなければ、季節の間、そこで何度もミミズを採ることができよう。

とはいえ、落ち葉の下を探すだけでは、充分のミミズを獲られぬこともある。そうした時は、スコップの刃先などでミミズの体を切断せぬよう、側溝の底にあたるまで器具を深く差し込み、一気に掘り起こすのがよい。

先にも述べたが、本来、側溝は排水溝であり排土溝ではないのであって、土や落ち葉などが溜まっているべきものではない。あるいは、掘り起こした土を溝に戻さず、よろしき所に除けておけば、土地の人に感謝されるやもしれぬ。

ドバミミズは落ち葉の下にいる


ミミズにも種々がある。あるものは落ち葉の下に、あるものは地中深く樹木の根にからまって、またあるものは水中に棲む。海中に棲む種もある。

川釣りで大物を狙うのに最好適の、釣客からドバミミズと呼ばれるミミズは落ち葉の下にいるものであって、あまり土中には棲まぬものだと聞いたことがあるが、実際のところはどうなのか。残念ながら経験乏しく、語るをえない。

いずれにせよ、落ち葉の寝床を好むものであっても、土に潜る能力を持たぬわけではなかろう。写真の大ミミズどもは、土を掘り返して出てきたものもあれば、物音に驚き落ち葉の上を必死の逃走中のところを捕らえたものもある。

ドバミミズ 2

土中には、ヘビの子かと思うほどの大ミミズも見えるが、これは山ミミズといって、釣り餌には適さぬそうだ。これも事の真偽を知らぬが、一度だけ試した際には、鯉やブラックバッスは食いつかなかった。

ムカデに注意


ミミズある所、必ずやムカデの姿がある。夢中でミミズを求めるあまり、光沢を有する紐状の物体を目にするや反射的の行いで素手でつかんで指を噛まれ、毒液を注入されてはたまらない。

100本もの脚があるムカデどもは、
「ナニ、1本ぐらい構わぬだろう」
と噛みつくのかもしれぬが、こちらにとっては、都合4本しかない虎の子の手足である。ミミズ採取を志す諸兄におかれては、必ずや手袋の着用を心がけられたい。

ミミズ保管は脱走注意


とらえたミミズは、現地の土・落ち葉とともにビニール袋に入れ、それをさらに蓋付きのバケツに収め、蓋には空気穴を開けておくとよい。千枚通しを火で炙ったもので刺すと、簡単に穴が開く。

このバケツは、風通しの良い日陰に置いておき、時々、霧吹きなどで少量の水を与える。乾燥はもちろんであるが、水の与え過ぎもまた禁物である。

ミミズは、バケツ中の小天地われ快ならずと思えば、そこで飼い殺しにのままにはならない。決然と逃避行に移る。

垂直の壁をよじ登り、フタの隙間から身を躍らせると、そこで命運尽きて干物となろうとも悔いはないのである。なんとも雄々しいことではないか。ただし、ミミズは雌雄同体である。

ミミズ掘りは新レジャー


ミミズ堀りには苦労が多い。肉体的の重労働である。夏の日差しに焼かれ、蚊に刺され、腰を痛め、通行人に清掃作業員と勘違いされ
「ご苦労様」
などと言われようとも、はたして土中から小指ほどもある大ミミズが顔をのぞかせているのを見つけた時には、疲れが霧消するのである。

かの炭坑節では、地中に産する石炭を黒ダイヤと唄っている。徒刑囚は、そば・うどんなどの麺類を長シャリと唱えるそうだ。すると、ミミズはさしずめ長ダイヤといったところか。

大ミミズを捕まえる喜びは、大魚を釣り上げるそれと何ら変わらない。ミミズ掘りは、潮干狩りなどと同じく、これでひとつの立派なレジャーであると思うのである。