スッポン

近所の川で釣って生かしておいたスッポンを、解体して鍋にしました。解体編と調理・試食編、前後2編に分けて投稿します。

※注意:この投稿には血液や内臓の写真が含まれています。苦手な方は閲覧を控えてください。

最初の難関・スッポンの首をつかむ

スッポンを料理するには、まず首を切り落とす必要があります。噛まれる心配がないように考案した釣り針を使う方法を試してみましたが、激しく暴れられて針がはずれてしまいました。

やむなく作戦変更。釣りに使っている針はずし用のプライヤーをスッポンの顔に近づけて噛ませ、下あごを強くはさんで吊るし上げました。すると、最初は首を甲羅に引っ込めていましたが、そのうちに自らの体重に負けてズルズルと首がのびてきました。

そこを、すかさず掴んだのが冒頭の写真です。次は、いよいよ心理的な最大の難関。首を切り落とさねばなりません。

スッポンの首を切り落とす



佐藤垢石のエッセイ『すっぽん』によると、スッポンの首を切り落とす際は首を掴んでまな板の上に座らせるような形にして、首をひっぱり出しながらその付け根に包丁を入れるとあります。

私も、そのやり方を真似してみようとしたのですが、やはりプロの職人のようにはいきませんでした。しかたなく、普通にまな板に横たえた状態でやることに。

ところが、これにも問題が。宙ぶらりんの状態では為す術もなく長い首を伸ばしきっていたスッポンですが、まな板に置かれて四肢を踏ん張る足がかりを得ると、たちまち首の半分ほどは甲羅に引っ込めてしまうのです。

どうにかならないか。と思いましたが、両手がふさがっている状態ではどうにもなりません。しかたなく、甲羅の外に出ている部分の根本、首全体でみると、ちょうど頭と付け根の中間あたりから包丁を入れることに。

よく切れる包丁は必須

鱗も毛皮もないだけにスッポンの皮膚は丈夫にできていて、わが家のなまくら包丁では、なかなか刃が入りませんでした。それでも、皮と肉は何とかなりましたが、問題は首の骨。骨と骨の継ぎ目に刃を入れればよいと頭でわかっていても、包丁の刃先でそこを探り当てることができません。

結局、出刃包丁の背を手のひらで強く叩いて、力まかせに切り落としました。おかげで、切り口はぐちゃぐちゃ。首の半分ほどは胴体側に残ってしまっています。スッポンといえば生き血ですが、それもほとんど流れ出てしまいました。

首を切り落としたスッポン
首を切り落としたスッポン

胴体とわかれたスッポンの首は、自然と目をつぶってくれていいて、ほっとしました。一方、胴体の方は手足をじたばたさせています。

熱湯をかけて薄皮をむく


スッポンの薄皮
スッポンの薄皮をむく

次に、電気ケトルで沸かした熱湯をスッポンの全身にまわしかけ、臭みのある薄皮をむいていきました。首の方は熱湯をかけても無反応でしたが、胴体はお湯がかかった瞬間に激しく手足を動かしたので、ギョッとしました。

背甲の部分はきれいにむけたのですが、手足の部分は、うまくいきませんでした。解体した後で、あらためて熱湯につけて処理することに。

背甲をはがすのに大苦戦


まな板の上のスッポン
スッポンの背甲をはがす

次のステップは背甲をはがすこと。スッポンには一般のカメ類のように硬い甲羅がなく、また背側と腹側が一体化(スーパーマリオのノコノコを想像してください)していません。背甲の縁にそって包丁を入れればパカッとはがせる。と、ネットには書いてありました。

ところが、いざやってみると、どこが背甲の縁なのかがよくわかりません。やたらと包丁を突き立てているうちに刃先が入る部分があったので、そこから少しずつ切り進めていきました。

包丁のかわりにオルファのクラフトナイフが活躍


オルファのクラフトナイフ
オルファのクラフトナイフ

これで何とかなりそうだと思えた矢先、包丁が全く切れなくなってしまいました。そこで、オルファのクラフトナイフに選手交代。定価600円(実売価格は300円くらいだと思います)の安物ですが、よく研がれていない包丁などよりは、よほどよく切れました。首もこれで落とせばよかったです。以降、包丁の出番はなし。

さて、背甲をはがす作業ですが、かなり時間がかかってしまいました。特に、下半身の骨盤と背甲がつながっている部分の切り離し方がわからず大苦戦。また、脇腹のあたりに硬い部分があり、そこの処理にも悩みました(結局、料理バサミで無理やり切りました)。

この時に思ったのが、ネットに落ちている『すっぽんのさばき方情報』は、説明が大まかすぎて初めて挑戦する人にはあまり役に立たないということ。だったら私が詳しい解説を……と言いたいところですが、1度さばいた程度では、とても他人に教えることなどできないと痛感。

追記:YouTube で非常に参考になる動画を見つけましたので紹介します。



内臓を取り出す


背甲をはずした

悪戦苦闘の末、なんとか背甲を外すことができました。次は、ゴチャゴチャした内臓の中から膀胱を見つけて、破かないように取り出さなければいけません。この時、心臓はまだ脈打っていました。

しかし、どれが膀胱なのか素人には見当もつかず。尿が溜まって風船状になっていれば一目でわかったのかもしれませんが、排尿済みで小さくしぼんでいたのでしょう。

数日では胃腸は空にならない

仕方ないので、内臓を片っ端から取り出していくことに。餌をやらず何日も生かしておいたので、もう胃腸の中は空っぽだろうと思っていましたが、胃袋には、貝殻かザリガニの殻のような破片が詰まっていました。いわゆる『泥抜き』をしっかりやろうと思ったら、数日生かしておくだけでは足りないようです。

スッポンの肝
スッポンの肝臓と心臓

見るからにおいしそうで捨てるに忍びなかった部分、肝臓・心臓・腸の下部以外、内臓は捨てました。

胴体を切り分ける

(このあたりで、写真を撮る気力が尽きた)

次は、胴体を上下に2分割します。腹腔の下縁にそってナイフを入れ、そのまま頭側へ切り進みました。適当なところで背中側へ切り下げると、胴体は自然と2つに分かれました。この作業はわりと簡単。切れるところを切っていけば、自然と胴が2つになります。

スッポンの下半身
スッポンの下半身

次に、左右の前脚を、えぐり取るようにして腹甲から切り離しました。ここも、それほど難しくありません。

面倒だったのは、後ろ脚です。丈夫な骨盤と尻尾が邪魔で、行き当たりばったりで作業している素人としては、どこにナイフを入れたものか甚だ困惑しました。何も外科手術のように丁寧に切る必要はないのですから、巨大な中華包丁か何かでドンと力まかせに断ち割ってしまいたいところ。しかし、残念ながら、そんな頑丈な刃物は持っていません。

ナイフの刃先で探るようにして関節部分を見つけ、そこを何度もなぞるように切って、最後はナイフの背を手のひらで叩いて切り落としました。

スッポンの手
スッポンのてのひら

手足の先も切り落としました。プニプニしていておいしそうでしたが、今回はパス。

このスッポンはオスだった


スッポンのペニス
スッポンのペニス

下半身を切り分けていると、男性のシンボルらしきものが現れました。体長との比率で考えると、なかなか立派なものをお持ちだと言えます。手触りからして、コリコリした食感を楽しめそうだったので、ここも鍋に入れました。

下あごの骨? を切り離す


スッポンの頭
スッポンの頭

スッポンの頭。安らかな死に顔(と勝手に解釈)になっていて、ひと安心。目をむいて無念の表情を浮かべていたら、やりづらくてしかたなかったでしょう。

YouTube で見たスッポン解体動画の真似をして、下あごの、人間で言うエラの部分からナイフを入れていくと、何だかよくわからない骨が出てきました。何のためにあごに切り込みを入れるのか、わかっていませんでしたが(今もわかっていません)、この骨が首と頭を分離する際に邪魔になるようです。

人間など哺乳類は下あごが1つの骨でできていますが、スッポンなど爬虫類は構造がちがいます。あごを構成するパーツかな? と思いましたが、この時点では、もう疲れ果てて、スッポンの骨格について考える気力はありませんでした。

薄皮が残っている部分をお湯につけてむく


スッポンの湯むき
熱湯にけて薄皮をむく

熱湯をまわしかけただけでは薄皮がむけなかった部分を、お湯に着けているところ。しかし、温度が低すぎたようで、薄皮は上手くはがれてくれませんでした。やむなく、爪でこすり落としました。

お湯につけている部位がやけに少ないですが、他の部分は、素人がいじくり回しているうちに、皮がはがれてしまったのです。スッポンは皮こそ美味しいと聞きますから、もったいないこをしたと思います。と同時に、何ともカメくさいというか川くさいにおいがしたのも、この皮でした。この部分の処理にスッポン料理の要諦があるのでしょうか。

解体完了


解体したスッポン
解体したスッポン

肝心な身の部分が甲羅で隠れてしまっていますが、もう、それを直す気力もない状態。もっと写真をたくさん撮るつもりだったのです、それどころではありませんでした。初めてのスッポン解体で、血まみれのナイフとiPhone を交互に持ち替えながら作業するなど、無理な話だったのです。

私の脳内スッポン職人(頑固親父)が「どうだい。こんな苦労をするくらいなら、店で食べたほうが、むしろ安上がりってもんだろ」と語りかけてきました。おっしゃる通りです。

スッポンといえば滋養強壮というイメージがありますが、スッポンを解体して消耗するエネルギーと、すっぽんを食べて補給されるそれは、どちらが多いのでしょうか。

茹でこぼしてから煮込む

切り分け終わったスッポンを、いちど強火で茹でこぼして洗ってから、煮込みました。茹でこぼしの段階では、あっという間に湯が黄色く染まり、大量の茶色いアクが浮きました。アクはお湯ごと捨て、スッポンの身は流水でざっと洗いました。

あらためて鍋にスッポン・生姜・昆布・料理酒500ミリリットル・水1リットルを入れて、中火にかけました。

スッポン鍋
スッポンを煮込む

これは煮込み開始時の写真。黄色い部分は脂肪。天然物は脂肪が黄色く、養殖は白いという話は本当だったようです。養殖でも、飼料の選択によっては黄色くなると思いますが。

スッポン鍋
煮込まれたスッポン

これは、30分ほど経ったところ。この時点でもう食べられそうでしたが、さらに煮込んでみました。出来上がりと味の感想は、次回の投稿をご覧ください。

<つづく>