エレベーター式パンプカ

生きた魚を餌にしてヒラメやスズキを釣る、泳がせ釣り(のませ釣り)の技法に、エレベーター釣り(仕掛け)というものがあります。これを、食パンを水面に浮かべて鯉を釣る、いわゆるパンプカ(パン鯉・パックン釣り)に応用してみたらどうだろう。一昨日(2016年12月6日)、そんなことを、ふと思いつきました。

パンプカ 針とパンだけの仕掛けは軽すぎて扱いづらい

パンプカの仕掛けには何種類かありますが、ウキもオモリも使わず、道糸の先に針を直結してパンを刺しただけのものが、釣果において抜群です。

この仕掛けは見た目がとても自然で、一見して釣り餌だと気づくのは人間でも難しいほどだからです。ただのパンのかけらにしか見えません。いわんや鯉においてをや。

ただし、この仕掛けは軽すぎて、釣り初心者(私)には操作が難しすぎる面があります。狙った場所に上手くパンを落とせない(結果、鯉が釣れない)という問題の他に、リール竿で用いる場合は、道糸がうまくリールから出ていかず、団子状に絡まってしまうトラブルの原因にもなります。

飛ばしウキを使うとコイに警戒される

それを回避するため、ある程度の重量がありながら水に浮く、飛ばしウキを使う方法が採られることがあります。小林重工の専用仕掛け『コ式』が有名ですが、私はもっぱら、浜で拾った円錐ウキを使用しています。

しかし、この方法にもまた問題があります。パンよりもウキに対して鯉が興味を示し、そちらに食いついてしまいがちなのです。その後、パンも食べてくれればよいのですが、違和感を得て、逃げ去ってしまうこともあります。

エレベーター釣りの要領でオモリを使いつつパンを浮かす

さらに、ウキの存在を怪しんだ鯉に、パンを無視されてしまうことも。なんとか、目立たず、しかも扱いやすい仕掛けで効率よく鯉を釣れないものか。常々そう考えていたのですが、その解決策として、冒頭に述べたようにエレベーター釣りを応用することを思いつき、実際に試してみることにしました。下の図をご覧ください。

エレベーター式パンプカ
※ウキ止めゴムは不要。サルカンでなくスナップを使うべき

サルカンを道糸に結ぶのではなく遊動式とすることで、重量のあるオモリを使って扱いやすい仕掛けとしながら、ウキ無しでパンを自然に水面に浮かべることができる。というアイデアです。私はこれをエレベーター式パンプカ、略して<エレプカ>と名付けました。

エレベーター釣りの主旨を理解していなかった

先ず言っておかねばなりませんが、私はエレベーター釣りをしたことがありません。先ほど検索してみるまで、そのコンセプトも正しく理解していませんでした。

エレベーター釣りとは、先ずオモリだけをポイントに投入し、その後でハリスを結んだスナップを道糸に引っ掛けて餌(生きた魚)を送り込む釣り方です。この方法を採ることで、

  1. 仕掛けを投げる際の負荷を餌に与えず、元気に泳ぎ回ってもらうことで、ヒラメやスズキの食欲を刺激する。
  2. 道糸に沿って縦方向に餌が自由・自然に泳ぐことで、ヒラメやス(以下略)

という、上記2点の利益を期待できます。ところが、つい先ほどまで、私は2 についてしか理解していませんでした。

似非エレベーター仕掛け

そのため、スナップ付きサルカンを切らしていたので代わりに普通のサルカンを使い、道糸にセットしたままのダイソーのウキ止めゴムもそのまま。という、似非エレベーター釣り仕掛けを作ってしまいました。

エレベーター式パンプカ


上の写真が、実際に作った仕掛けです。道糸は、オクマ サフィーナ2500に最初から巻いてあったナイロン3号。オモリは、ナスオモリ3号。サルカン10号に、ダイソーのチヌ針2号ハリス1.5号。写っていませんが、上部には、道糸に付けっぱなしにしている、やはりダイソーのウキ止めゴムがあります。

テスト釣行に出かける途中、交通事故の現場に遭遇

2016年12月7日。夕刻。この仕掛けを持って、先日から通い始めた小川へ試し釣りに出かけました。

その途中、交差点でトラックが不自然に停まっているので何事かと見てみると、何と、その前方に人が仰向けに倒れているではありませんか。どうやら、トラックが歩行者をはねた直後の現場に遭遇してしまったようでした。

倒れている人(服装からすると、老婆のようだった)は、ぴくりとも動きません。その周りを、作業風姿の男性数名がしゃがんで取り囲み、ひとりが携帯電話で通報していました。しばらくすると救急車のサイレンが聞こえ、ヘリコプターが上空に飛来。警察の車輌も、かなりのスピードを出して駆けつけました。重大事故です。

写真を撮ってこのブログに載せたらアクセスが……という下衆な考えが、一瞬、脳裏をよぎりました。しかし、被害者が生きるか死ぬか、運転手の人生が今後どうなるかという現場で野次馬を決め込むほどの悪度胸もなく、足早に立ち去りました。

流れのある川面にパンが静止 不自然

目的の小川に到着すると、まずパンの耳を撒き、土手を歩いてコイの姿を探しました。ほどなくして、水面の餌をあさるコイを発見。

釣り道具を用意し、コイがいる位置のやや上流側、川の真ん中・流心に仕掛けを投入してみました。目論見通り、重さがあるのでキャストはしやすく、着水後いちど沈んだパンは、ふわっと水面に浮きました。目立つウキもないので、非常に自然な感じです。

と思いきや、オモリによって1か所に固定され、流れのある川面のど真ん中で静止したパンの姿は、あまりに不自然でした。不自然を通り越して、不思議な感じすら受けます。まるで、UFO が空中に静止しているのを見たかのような違和感でした。

岸に流れ寄った撒き餌に紛れ込ませた

これでは釣れない。どうしよう。と考えていると、先ほど撒いたパンが岸際に流れ寄り、そこで引っかかって止まっているのが目に入りました。そうだ、あの中に紛れ込ませよう。

そう思ってやってみたのが、下の写真です。赤矢印の先にある物が、餌の食パン。ウキがないので、画面から見切れて左右に浮いている撒き餌のパン見分けがつきません。

エレベーター式パンプカで川面に浮かべたパン

姿勢を低くして待っていると、下流側から1匹のコイが泳いできました。水面に顔を出して、撒き餌のパンを1つずつ吸い込みながら、私の目の前にある針付きパンの所までやってきました。

さあ、どうなるか。何のためらいもなく、スッと吸い込みました。ウキを使った場合の、怪しむようにパンをじっと観察したり、ウキを鼻先で小突いてみたりとは、明らかに様子が違います。


良型のコイがヒット

立ち上がってアワセを入れると、リバティクラブ ルアーが弓なりに引き絞られました。この豪快な引きがコイ釣りの醍醐味のひとつですが、道糸から針まで一直線になっている仕掛けと比べると、その伝わり方が若干ピュアでないというか、ノイズが乗っているような感じを受けました。

コイ

じゅうぶんに泳がせて疲れさせ、岸に寄せてからも、じっくり空気を吸わせてからネットイン。太すぎず細すぎず、均整の取れた良いコイでした。

コイ

針は、上唇の左端にチョンと掛かっていました。もちろん、カエシは潰してあります。触れるまでもなく、コイが身動きした拍子にポロッと外れました。

コイ

記念写真を撮影後、川に返してやると、し元気に泳ぎ去っていきました。道具を片付けて帰ろうとすると、足下に置き土産が。

コイの鱗

500円玉ほどもある、大きな鱗でした。今回、思いつきから作成して試してみたエレベーター式パンプカ仕掛けですが、水面に浮いたパンが静止していてもおかしくない状況であれば、手前味噌ですが、なかなか良い仕掛ではないでしょうか。

コイの鱗

事故現場を目撃した影響で釣りに身が入らず

自分が考案した仕掛けの有用性を確認し、その結果、コイも釣れた。充実した釣行だった……と言いたいところですが、刺激のない田舎で目撃した重大事故の印象はあまりに強く、「倒れていた人は助かるのだろうか」とか、「運転手は逮捕されるのだろうか」といったことばかり考えていて、釣りに身が入りませんでした。 

エレベーター式パンプカ仕掛けの感想


長所
  • キャストがしやすい。
  • ウキが無いので、撒き餌のパンと比べても違和感がない。
短所
  • パンが水面で静止するので、流れのある川では不自然。
  • 道糸から針まで一直線の仕掛けと比べると、手元への引き味の伝わり方が、やや劣る。