鯉こく


ため池で釣った鯉を生きたまま持ち帰ってさばき、鯉こくを作ってみました。

日本人として鯉料理にも挑戦せねば

これまで、このブログに投稿してきた釣り魚料理は、ブラックバスが中心でした。簡単に釣れて味が良く、しかも、資源保護について考える必要がないからです。

しかし、バスは素早く3枚おろしにできるのに、鯉やフナを料理したことがない。というのは、日本人として、どうなのでしょうか。いずれ、鯉料理にも挑戦せねば。そう思いつつも実行できないでいましたが、寒鯉のシーズンになったこもあり、重い腰を上げました。

食べごろサイズの鯉をもとめて某池へ

鯉なら近所の川にいくらでも泳いでいますが、体長60cm 以上で重さも2キロ3キロの個体ばかり。そのサイズの鯉を家庭の台所で料理するのは、初めての挑戦としてはハードルが高すぎます。小さめの鯉もいることはいるのですが、数が少なく、なかなか釣れません。

そこで、食べごろサイズの鯉が多く住む某ため池まで出かけ、食材を調達してきました。浮き釣りで流れ込みを探ると、すぐに40cm ほどの鯉がヒット。冬場なのでアタリに勢いがなく、初めは根掛かりを疑いました。釣り上げた後は、すぐ濡らした新聞紙で包んでビニール袋に入れ、そのまま自宅にとんぼ返り。

なんとなくバスタブに泳がせてみた

自宅に着いて鯉の様子を見てみると、まだ生きていました。料理をはじめる前に少し台所を片付けたかったので、その間、バスタブに水を張って泳がせておくことに。


ポーランドなどの東ヨーロッパ諸国では、クリスマスのご馳走として食べる鯉を、こうやって生かしておくそうです。最初は横倒しになっていた鯉ですが、体勢を立て直してやると、バスタブの縁にそってグルグルと泳ぎ回りはじめました。鯉は池の岸にそって回遊するという話は本当だな。と思いました。

このま1週間ほど泳がせて泥抜きができれば理想的ですが、そうもいきません。平坂寛さんがデイリーポータルZ に書いた記事の内容から、まあ、大丈夫だろうと判断(というか期待)して、即日、料理しました。

野鯉の臭みを克服しようと思ったらそもそも臭くなかった - デイリーポータルZ:@nifty

硬い背骨に苦戦しながら筒切りに

鯉

準備ができたところで、鯉を風呂場から台所へ運びます。文字通り『まな板の上の鯉』となった鯉の脳天を、鉄製の肉叩きで打って気絶させました。

鯉

普段、魚の鱗を引く時は、ペットボトルの蓋を愛用しています。鱗が飛び散らないからです。今回はペットボトルの見当たらなかったので、包丁の背を使いました。その結果、大きな鱗がシンク周辺に盛大に飛び散り、大変なことになってしまいました……。板前さんは鯉の鱗を刺身包丁で削ぎ切りにするそうですが、その理由がわかりました。

鯉

次に、鯉の頭を落としました。刃の薄い文化包丁では鯉の硬い中骨を断ち切るのが難しいので、胸びれの後ろからぐるっと切り込みを入れ、凍ったチューペットを折るようにして首をポキっと折りました。

次は、胴体を筒切りにしていきます。首のようにポキポキと折っていけたら楽だったのですが、そういうわけにもいきません。包丁の刃先で中骨の継ぎ目を探り、手のひらで包丁の背を叩いて、叩き切りました。

鯉の切り身

鯉はサンマのように(?)内臓が美味しいと聞きましたが、今回は、泥抜きをする時間がなく糞が残っていたこともあり、捨てました。

頭はカブト割りしようと思いましたが、骨があまりに硬く断念。調理バサミで無理やり何分割かにしました。悪戦苦闘の末に切り終えた鯉の身をざるに並べ、熱湯を回しかけて臭みをとりました。

鯉こく レシピ

下ごしらえの後は、いよいよ調理に入ります。鯉こくは、鯉の切り身を煮て味噌で味付けするだけのシンプルな料理ですが、そのレシピは、人により様々です。今回は、ネットで人気のレシピをいくつか調べ、以下のような折衷案でやってみました。

材料
  • 鯉の切り身 1匹分
  • 水 1500cc (蒸発分は適宜追加)
  • 赤味噌 お玉半分
  • 砂糖 小さじ1
  • 酒 100cc (2回にわけて投入)
  • チューブ生姜 少々

作り方

  1. 鯉の切り身を湯通しする。
  2. 鍋底に鯉を並べ、水と酒半量を加えて火にかける。
  3. 沸騰したら砂糖を加え、アクを取りながら、鯉が柔らかくなるまで煮る。
  4. 別容器で煮汁を加えて溶いておいた赤味噌と酒半量を加え、さらに、しばらく煮る。
  5. 食べる前に、チューブ生姜を少量加える。



鯉を水と酒で煮込んだが、どうにも臭みが……

鯉の身を鍋底に並べ、水1.5リットルと酒50cc を入れて火にかけました。沸騰したところで砂糖小さじ1を加え、浮いてくるアクを丁寧にとりながら、中火で約2時間煮込みました。


この間、どうにも泥臭いというかドブ臭いような臭気が鍋から立ち上り、果たして美味しく仕上がるのかと不安になりました。生姜を入れることも考えましたが、ある養殖業者のサイトに『生臭いからと鯉料理に生姜をいれると、こんどは土臭くなりがち』とあったのを思い出したので、やめておきました。




味噌の威力か いきなり臭みが消えた

あまり煮込むと鯉の身がボロボロに煮崩れてしまうので、適当なところで切り上げることにしました。小さなボウルにお玉半分ほどの赤味噌を入れ、そこへ煮汁をそそぎ、泡立て器でよくかきまぜてから、鍋に入れました。

鯉こく

さらに酒50cc を加えて、恐る恐る味見をしてみると、何と、まったく臭くありません。それどころか、上品な旨味がたっぷりで、とても美味しい汁になっていました。先ほどまで感じていた臭いは、どこに行ってしまったのでしょうか。味噌の威力、恐るべしです。

自作の鯉こく完成。いざ実食

鯉を調理をした日は、用意してあった夕食を摂ったので、鯉こくの試食は翌日に持ち越しとなりました。

鯉こく

ひと晩寝かせた鯉こくを温め直し、お椀によそって、まず汁をひと口飲んでみました。うまいことは昨日わかっていましたが、実に良い味でした。昔は病人や妊婦に食べさせたという話もうなずける、癒し系の旨味がひろがります。

鯉こく

ただ、私の趣味としては、優しさだけでなく、何らかの刺激と言うかエッジが欲しい。と思ったので、チューブの生姜を少しだけ足してみました。すると、味が締まって、期待通りの効果が得られました。

ゼラチン部分がプルプルで美味しい

以前、スッポン鍋を作った時は、出汁は絶品なのに肉の味は普通。という残念な経験をしました。今回も、旨味は汁に流れ出てしまったかな?と思って、鯉の身に箸をつけました。

鯉こく

ところが、嬉しい誤算で、肉にもしっかり旨味が残っていました。臭みが残りがちな皮や脂が多い部分にも全く嫌な感じはなく、腹身などは、プルプルとしていて、とろけるように柔らかく、とても美味しいものでした。たちまち、2杯食べてしまいました。

今回は捨ててしまいましたが、鯉の内臓も相当に美味なものと思われます。機会があれば、泥抜きをしっかりして糞を出し切らせた鯉を、丸ごと料理してみたいものです。

鯉こく

味噌汁といえばご飯ですが、鯉こくの場合は、むしろ酒だなと思いました。私が酒飲みだから、そう思っただけかもしれませんが……。

鯉の欠点 とにかく小骨が多い

とても美味しく、臭みもないことがわかった鯉ですが、良いことばかりではありませんでした。話には聞いていましたが、とにかく小骨が多いのです。英語圏の人が "y bone" と呼ぶY字型の骨が、背の身に無数に埋まっています。 

鯉のY字型の小骨

この骨は、下ごしらえで取り除くことはできないので、ハモのように骨切りをするか、食べながら出すしかありません。それを上回る美味しさがあるとはいえ、これは、なかなか面倒です。

小骨があるから、サンマの塩焼きを食べたくない。という人もいるらしい現代において、これは食用魚としての鯉が背負わされた十字架、というかY字架だなと思いました。

※このブログでは通常『コイ』という表記を用いていますが、この投稿では、『鯉こく』に合わせて『鯉』としています。